2007年2月25日日曜日

ちまみれ

 最近、気が付いたら指が血まみれ。爪の間とかに、ときどきびっしりときどきちょっぴり。どこから出てくるのかしらん。不思議。

2007年2月23日金曜日

日の出食堂

「日の出食堂」

 少年探偵は不意に背後に気配を感じ振り返る。夜明けの朝靄の中に輪郭を融かして日の出食堂が隆起していた。気付けばそこは古い木造家屋の並ぶ小さな田舎町。シャッターの下りた商店街の中で日の出食堂だけが黄色い光を零していた。自転車のベルを鳴らして新聞配達の高校生が少年探偵の脇をすり抜け、少年探偵は目でその背中を追った。
 日の出食堂は閑散としていた。少年探偵は席の隅に一人の女学生を見つけ、それとなく隣に座る。納豆定食二百円。女学生と二人で熱い茶を啜っているとお互い第一声が中々出ず、しかしついに被ってしまう。厨房の奥から包丁がまな板を叩く音。それからぽつり、ぽつり、と女学生が来春に見合いをすることを話し始めた。「いやなのか」「うん」「じゃあ、おれと逃げよう」少年探偵は女学生の手を握る。すると女学生はふんわりと顔を和らげ、
「起きなさい、朝よ。学校に遅刻するよ」
「……出て行かないよね」
 くぐもった声で少年探偵は問うと、おぼろげな視界に老いた女学生の困ったような笑みが浮かんだ。どこか遠い記憶の片隅から包丁がまな板を叩く音がひっそりと響く。
��あれはどこだったろう)
 少年探偵は母親の首筋に鼻を埋めて記憶を推理する。




 500文字の心臓第64回タイトル競作「日の出食堂」 ○:4、△:2


 次回は「チョコ痕」だって。個人的には「唇にメビウスの輪を」が素敵だと思ったのに。



お引越し

 新居は大分前に建てたけども、入居せずに放浪していました。
 というわけで新居はこちらhttp://siraisa.seesaa.net/
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