2006年7月29日土曜日

2 地図にない国

 空に続く坂道をぐんぐん上り、ついに一面夏の空! 白く濃い雲から視線をゆっくり下に下ろす途中で、空飛ぶ艇がのんびりと飛行するのを見つけた。一つ、二つ。三つ。さらに視線を下ろしていくと、背の高い塔がいくつも生えているのが見える。と思ったらそれは城だった。石煉瓦の尖塔の天辺から王国の姫君だろうか、誰かが頬杖を突いて顔を出している。城門は開け放たれ、そこから赤煉瓦が敷き詰められた道が真っ直ぐ走っている。豆粒みたいな馬車が行く。
 はて、と思い僕はリュックサックから地図を取り出し、自分が歩いた道を指でなぞって確かめる。
 うーんと唸って顔を上げると、そこは緑の平原。地平線は見事に円い。



 お題第二弾。
 どう見ても遅筆です。ありg

 次は『ふりむいてはいけない』

2006年7月20日木曜日

三行日記196

 アクセス解析曰く、『翔べないカモメの物語』でここが当たったみたい。証拠
 マジか! マジか! と一人喜ぶ。大喜び。わーい。なんとなく、嬉しいんだ。
 次は『デニッシュは7コール』で当たりますように。誰か来ないかなー。ほれほれ。

2006年7月19日水曜日

三行日記195

 困った! 
 えー、あー、うー。
 うー。ほしいなあ……。

三行日記194

 およそあと80年。
 困った。永いなあ。
 今の密度で生きていたら、たぶん僕の体よりも先に精神が参ってしまう。

2006年7月17日月曜日

三行日記193

衝動・イマジネーションは授業中でもお構い無しにやってくる。
一分一秒で失われていくから留めておきたいのだけど、手では間に合わない。
PDA(だっけ?)があれば、と思う今も授業中。ああもどかしい。

1 長い夜の過ごし方

 真夜中、糸車はカラカラと乾いた音を立ててゆっくり回る。
 老婆は何十年もそうしてきたように、小さく縮んでしまった手で糸を紡ぐ。老婆の呼吸は穏やかに、そのリズムは糸車の音と調和し、永らく雲に隠れた月光がうっすら窓辺を照らし出したとき物語は語られ始める。
 幸せな話は黄色い糸で、哀しい話は灰色の糸で。老婆に初めて孫が生まれた日は赤い糸。途絶えることなく続く老婆の記憶は現在から過去へ一秒一秒、確かな糸として紡がれる。カラカラと音を立てて回る糸車の足元には、色とりどりの糸が螺旋を描きながら蓄積されていく。
 老婆はいつしか高く澄んだ声で唄う娘になる。その娘の前では神様も小さな男の子になり、膝を抱えてじいっと娘の物語りに聞き入っていた。
「これで私のお話はおしまい」
 小さな女の子と男の子は互いの感触を確かめ合うように強く手を握り合って歩いていく。
 糸車は惰性でカラ、カラ、と回り、やがて止まる。



 小説書きさんに50のお題より。
 寡作と言われたのが密かにショックなようです。ほれほれ。どーしてくれんじゃい。
 ……次のお題は『地図にない国』。らしい。です。

2006年7月13日木曜日

三行日記192

 バイトの帰り道、自転車を取りに寄った大学の、
 整理整頓がなされた広い机の隅にぽつんと置かれた水色のハンカチを見つける。
 ここで、彼女はまた泣いたのだろうね。