亡くなる間際、祖母は私を呼び寄せて左眼を覗き込むよう言った。
「中に誰かいる」
「私の初恋の人だよ」
袴姿の女学生が椅子に座って本を読んでいた。
「失いたく、なかったんだ。だから閉じ込めた。彼女の人生を奪ってしまった」
彼女がこちらに気づき、唇を動かす。
私は幸せだったわよさっちゃん。
そう言ってほほ笑む姿に私の方が恋しそうになった。
日記の中から発掘。
書いたのが2019年11月20日とのこと。
元々オンラインストレージのつもりで使ってるブログだけど、永遠じゃないので、そのうちどっかにバックアップ残さなきゃなあ。そんなことを思い始めて早五年。そういうもんだ。