2007年10月31日水曜日

赤裸々

「赤裸々」

 僕らは星の降る丘にいた。不意に流星が一つ。
「金持ちの――!」
 隣から叫び声。金持ちの?
 滅多に星が降らないのはこういうわけなのかもしれない。



 タイトル競作「赤裸々」に出品の○:2、×:1也。
 赤裸々せきらら、きららきらきらお星様。
 削れるだけ削ってみて話が伝わるギリギリを狙ってみた感じ。
 ところで作者の意図ってそんなに気になるものなのかしらん、と今更ながら思ったり。僕は全然気にならない性質で、話が作者の意図一つに収斂するよりも拡散していってくれた方が好み。といったようなことはしっかり最低限書くべきことを書いた上でする話なので、ううん。削りすぎた感が。バランスがむずかしい。(作者の意図に嵌る以上に面白いことがあるかもしれないし、意図を超えた彼方に何か新しいものが見えるかもしれないし、意図も選択肢の一つに据えた上で幅は広い方がいいよねぇ。というのは矛盾の塊。むずかしいねえー。)
 結局面白ければ何でもいいのですが。



 怒涛の十月が終わったー。何だか異様に濃い月だったような。十一月はもちっとまったりしたい。

2007年10月28日日曜日

二人だけの約束

「二人だけの約束」

 内緒だよ、と約束しあった二人が死に、約束は世界に取り残された。まだ主を持つ約束たちが交差する雑踏の中、同じく主人を失った約束と出会い、約束たちはそれぞれの秘密を打ち明けあう。分かれる間際、
「内緒だよ」
 と約束たちの口から零れた言葉が交じり合い新たな約束が生まれ、約束たちは我が子のように見守る。私たちはこのようにして生まれたのだな、と亡くなった主たちに暫しの黙祷を捧げる。生まれたばかりの約束はまだ自身が相互的な関わりそのものであることをわかっていないが予感だけは持っているので、目を瞑る両親の右手と左手を掴んでいる。


 免許取れました。ばんじゃーい。


2007年10月15日月曜日

プロフェッショナル

「プロフェッショナル」

 私はプロだ、と言うので、何のプロなのかと訊ねてみたら、内緒だと黙して答えない。しかしこの国では何かに特化した能力を持つ者は何者であれ礼節を持って待遇するのが決まりなので、仕方なく言うとおり泊めることにした。もしこの自称プロの言うことが嘘――つまり凡人――だった場合には詐欺で告発することも見据えて。
 料理をやらせたら指を切った。
 大学のレポートをやらせてみてもてんで的外れのことしか書かない。字も汚い。
 掃除をやらせれば花瓶を割り、留守中の犬の世話を任せても逆に伏せられる始末。
 一緒にゲームをしてもこてんぱんにやられてべそをかく。
 じゃあ一体何ならできるのか、と問い詰めようとしても安らかな寝顔を見ると、この頃は、まあいいか、とも思えてくるようになった。
 恋人と喧嘩をした。原因は何だったか忘れたがひどく腹立たしかったことだけは確かで、しばらくふらふらしてから帰ったのが夜更け過ぎだった。腹いせにゲームでいじめてやろうと思って自称プロを呼んだがどこにもいない。不安や心配よりも腹立たしさが先立つ。結局その日はそのまま寝たがプロはそれから何日も帰ってこなかった。もういなくなったかと思った。それはそれでいいとも思った。元々が元々なのだから。
 一人で料理をしてレポートを書き、犬と遊ぶ。恋人とはすっかり仲直りをして以前の日々に戻っていた。
 そんなある日、自称プロがひょっこり戻ってきた。ぽかんとする私に、「私はプロだ」堂々と宣言する。何のプロなのかと訊ねてみたら、内緒だと黙して答えない。しかしこの国では何かに特化した能力を持つ者は何者であれ礼節を持って待遇するのが決まりなので、仕方なく言うとおり泊めることにした。凡才以下であることは知っていたが、この国ではそのような人にも人権は認められているのだ。それに最初に比べて料理も掃除も犬の世話も、多少は上手くなっていたし、不都合はない。





 って言ってみたかったw

2007年10月4日木曜日

同窓会

 いつだったかアクセス解析の検索ワードで「ブラウスの隙間から云々」という語があった。検索する方も中々乙な方だと思うけども、ヒットするのもどうなんだか。

 何やら気付けば星さんライブ@東長崎から結構日にちが流れているような。いやん。
・東長崎の小さな書店で買った本のカバーが、ひょーたんさんマンジュ様らに「(余計な装飾宣伝がなくて)潔い」と絶賛されて「そこかよ」と内心突っこみつつも激しく嫉妬。カバーの分際でッ、キィィ!
・ぼくはこども舌なのでキャベツは辛くていやです。キャベツはいたい。
・果物は体にいいと思う。
・ライブ会場の店にいたお犬様が頗る立派。
・ひょーたんさんを護送するために第一部で離脱。ナイトいさやん。
・ただしメールはぶった切る。


 最近、人とメールをしていると遣り取りが途中でぶった切れる。や、切るのは僕なのですが。
 何の脈絡もなく音信不通になるので相手の人はさぞかし不安なのだろうなあとは思います。すみませんすみません。つかニコ動見ながらメールの言葉を捜しているうちに時間が経ってそのまま寝る、というパターンが殆どなのです。メールは時間がかかる。
 最近の子供はメールが30分以内に返ってこないと遅いと感じるのだとか。つい十数年前までは家族の目を忍んで黒電話、という時代もあったというのに。といっても今は「30分以内に返ってこないと遅い」のがスタンダードなのだからどうしようもない。うん、どうしようもない。今の若者とは仲良くできそうにないです。残念だ。

 先日小学校の同窓会があり、小六はもはや昔なのだと認識。そうか、そうなのか……。八年の間に色々変わったんだねぇ、みんな。特に女の子の見た目が。化けすぎだろうよ。昔はあんなにおしとやかなお嬢さんだったのに、立派なギャルに進化していたのでした。
 逆に考えれば、逆算すればみんな人の子、ということなのでしょう。

2007年10月1日月曜日

調査

 色々一周年なので、一年間で読んだ本を調べてみる。一応あいうえお順で。



麻生閣下「とてつもない日本」
新井素子「くますけと一緒に」
伊藤たかみ「ロスト・ストーリー」
江國香織「なつのひかり」「思いわずらうことなく愉しく生きよ」「ぬるい眠り」「こうばしい日々」「すいかの匂い」
江國香織 他「いじめの時間」
荻原規子「西の善き魔女 1」
小川洋子「余白の愛」「ブラフマンの埋葬」「妊娠カレンダー」「密やかな結晶」「偶然の祝福」「完璧な病室」「シュガータイム」「薬指の標本」「ホテルアイリス」
尾崎翠(中野翠編)「尾崎翠集成 上下」
壁井ユカコ「キーリ 1~9」
機本伸司「神様のパズル」
椎名誠「アド・バード」
塩野七生「ローマ人の物語 1~20」
谷崎潤一郎「痴人の愛」
辻仁成「クラウディ」「ニュートンの林檎 上下」
奈須きのこ「DDD 1」
長野まゆみ「鳩の栖」「野ばら」
梨木香歩「裏庭」
夏目漱石「こころ」
本多孝好「MISSING」
三島由紀夫「永すぎた春」
向山貴彦(宮山香里・絵)「童話物語 上下」
村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス 上」「アフターダーク」「スプートニクの恋人」
村山由佳「すべての雲は銀の・・・ 上下」「聞きたい言葉(おいコーⅨ)」
森絵都「DIVE!! 上下」「アーモンド入りチョコレートのワルツ」「つきのふね」「永遠の出口」
森山東「デスネイル」
吉本ばなな「アムリタ 上」
唯川恵「愛しても届かない」「今夜誰のとなりで眠る」「肩越しの恋人」
夢野久作「少女地獄」
ケリー・リンク「スペシャリストの帽子」
コレット「青い麦」
ジェイムズ・ディプトリー・ジュニア(浅倉久志訳)「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」
ジョイン・ヨーレン(村上博基訳)「夢織り女」
スコット・フィッツジェラルド(村上春樹訳)「グレート・ギャツビー」
スティーブン・キング(山田順子訳)「スタンド・バイミー(秋冬編)」
ダニエル・キイス(小尾芙佐訳)「アルジャーノンに花束を」
チョーサー(金子健二訳)「カンタベリー物語」
フランツ・カフカ(原田義人訳)「城」
ベアトリ・ベック(川口恵子訳)「ガラスびんの中のお話」
ヘッセ「車輪の下」
ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン(中平浩司訳)「論理哲学論考」
ロイス・ローリー(掛川恭子訳)「ザ・ギバー 記憶を伝える者」(中村浩美訳)「サイレントボーイ」
��.ガルシア=マルケス「エレンディラ」
��・D・サリンジャー「九つの物語」



 多少の書き漏らしがあるにしても、およそ百冊。そんなべらぼうに多いわけでもないのね。しかしこれだけあってミステリーが一冊もないのってどうなのやら。時期が来れば自然と興味も湧くことでしょう、きっと。