2010年3月6日土曜日

しっぽ

「しっぽ」

シーン1:路地裏にて
 露店でしっぽが売られている。犬、猫、豚にはじまり、鸚鵡、鰻、蜥蜴、蛙、蠍、しまいには鯨のものまである。
「意外と需要はあるものですよ」

シーン2:ネオン灯る帰路
 興味本位で猫のしっぽを買ってみた。手渡されたそれは私の手の中でだらりと垂れ、見た目以上に重たく感じられた。もともとの持ち主は黒猫であるようだった。丸めてコートのポケットに入れる。しっぽはぐたりと力無い。私は何度も滑らかな断面を指でなぞる。

シーン3:しっぽはどこ?
 世界のどこかにしっぽを失った黒猫がいる。彼がそれを失ったのはそれがないと気付いた瞬間だった。以来彼はいくつもの屋根を渡り歩いている。満月を背景にしっぽを失った黒猫が歩いている!

シーン4:ユーイチのユーウツ
 学校から帰るとユーイチはランドセルを部屋の隅に放り出した。今日は夜まで一人だ。外はじめじめ雨。電気を点けるのも面倒でテレビの明かりを代わりにする。適当にチャンネルを回す。面白くない。砂嵐、砂嵐、砂嵐。その狭間にぱっと屋根を歩く黒猫のカートゥーンアニメが映る。よく見れば黒猫にはしっぽがない。ユーイチは目を離すことができずにただジッと見入っている。

��**

没作品。
∵納得がいかなかった

この種の試みは非常に難しいです。節と節が近すぎたら分ける意味が薄いし、かといってばらばらすぎてもいけない。それぞれの距離感をどう取るかが、むー。

近頃は「へんぐえ」の方に顔を出したりと細々動く一方で、フリーゲームなんぞにも手を出していたり。
シルフェイド幻想譚とか魔王物語物語とかイストワール(現在進行形)とか。
特に魔王物語物語は非常に考えさせられる内容だったのでいずれ気力と根気と体力があれば語ってみたいなと思う。