2007年6月3日日曜日

懺悔火曜日

「懺悔火曜日」

 一人の人間が懺悔するとして、開始から終了(その件に関する懺悔を止めるまでとする。自殺の場合も含む。)までに実際に口に出した語と心中で発した語の総量の平均を1懺悔とし、それを分で割ったものを1単位懺悔と呼ぶ。一般的に、一人の人間が抱えられる懺悔量には個人差はあれど有限とされており、年齢の経過と共に変動しその変動パターンにもまた個人差があるとされている。単位懺悔量については十代後半から三十代頃までが最も多く、以降は思想の固定化等の要因により逓減するとされている。また、複数の件について同時に懺悔をする場合、相乗効果の発生も確認されている。
 懺悔火曜日、人々は懺悔をする。エージェントDの仕事は三鷹駅前に立ち、研究所が開発した特殊フィルターを用いて人々の懺悔を監視することだった。Dは帽子を目深に被り、休むことなく数字を記入する。
 その日の夜、Dは研究所にデータを送り、私信も添えた。
「懺悔火曜日を宣伝した当初に比べて、各曜日間の総懺悔量に差がなくなりつつあるみたいだね」


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