「ペパーミント症候群」
瓶の中のホムンクルスにペパーミントの種が根付いたので、その子だけ他の子とは異なる特性を備えるようになった。根が彼女の背を割り、芽吹いたばかりの双葉が青々しく、檸檬色の培養液の中で翻る様はまるで翼が生えたようだった。ホムンクルスは混沌とした意識の海を漂う。
最初の変化は、容姿に対する関心の発現だった。髪をいじる、伸びた爪を噛み切る、瓶の内壁に映った自分自身を観察する。瓶の中にビーズを数粒投入してみた。彼女は培養液の中を泳ぎ下り、拳大のビーズを持ち上げる。翌日にはビーズに髪を通し、頭頂部でまとめていた。
そこで今度は苺味の飴の欠片を投入してみた。しかし味覚はまだ発達していないようで、明りに透かすに留まった。
次に衣服を作成し投入する。彼女はそれが何なのかわからないようだった。瓶の前に子役モデルの写真を立てる。するとその日のうちに彼女は衣服を着ることを学習した。
まったく驚くべき発見であり、私は興奮した。しかし間もなく彼女は恋煩いを発症する。瓶に手のひらを押し当てじっと私を見上げている。
月夜の晩に彼女は亡くなった。瓶の蓋を開けると、ミントの香りがぷんと漂った。
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「ペパーミント症候群」リライト。
その昔、瓶詰妖精というアニメがございました。
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