2012年1月29日日曜日

朝霧の中で/NOIFproject



K

『K』

 Kは誰よりも勇敢で賢く優しくて、僕の親友だ。Kは僕の想像だったが、全然問題じゃなかった。僕たちはあらゆる場所に、望みさえすればいつでも行けた。砂漠を渡るキャラバンにもなれた。嵐に立ち向かう船団にもなれた。ジャングルの王者にだってなれた。
 ある日、Kは僕に小さな鍵を見せてくれた。金色の、ぴかぴかと光る鍵だった。僕はそれが怖ろしくて、「捨ててよ!」と怒鳴った。Kは淋しそうな顔をして鍵をポケットに入れる。「捨てて!」しかしKは捨ててくれない。僕が掴みかかると、Kは逃げてしまう。すると僕は是が非でもその鍵を捨てなければいけない気がして、Kを追いかけ始めたのだった。
 いくつもドアを蹴破って押し進む中には、砂漠も甲板も熱帯雨林もあった。僕はKに追いつけない。それどころか、時折Kは立ち止まって、僕が考えを改めるのを待っている。しかし僕にはその気がないので、結局また逃げていくのだった。
 そんな鬼ごっこが続いた末に、僕はとうとう崖の端までKを追い詰めた。Kの迫り寄る僕を見る目はとても悲しげで、やっぱりKは僕の親友なのだった。振り返ればもう何もないことぐらい、知っている。それでもやっぱり、僕は嫌なのだ。

��**

 タイトル競作「K」参加。○:1(2)、△:2
 予想外の大健闘。
 元ネタというかその後の話は、プロフィール欄のWeb拍手ボタンの下の、四角が市松模様になっている部分の、上から二段目。
 別に隠す気はなかったけど隠しページっぽくなっている部分。別に隠す気はないのでこうやって場所を告白しているのであった。


 ちなみにこのお話は手書きの原稿で書いていたもので、実を言えばそちらは完結していたりする。
 しかし持ち前の怠惰な性分故に、テキストデータ化が滞っているのだった。
 トータルで7万字程度。誰か代行してくれないかしらん。

2011年11月16日水曜日

ゴロワーズの少年/NOIFproject



ぐしゃ

「ぐしゃ」

 それは初めて聞いた音楽。
 目を逸らすと、「がらくたの分際で人間みたいなふりをするな」と殴られた。

��**

 タイトル競作 ○:1

 これを書く前くらいに、山本弘「アイの物語」を読んでいたのでそれに大いに影響されたところがあるのだと思います。はい。
 はやかつさんにピンポイントで届いたので、個人的には大勝利。

 メイキングはいずれどこかの段階でやる気と余力があれば。