ついに私たちは岬の先端に冷蔵庫を見つけたのでした。
「見ろ、冷蔵庫だ!」
兄は駆け出し、勢いよくドアを開けますが、すぐに溜息をついて閉めてしまいました。兄は首を横に振ります。ああ、もうだめだ。私たちはその場に崩れ、天を仰いで泣き出してしまいました。常夏の青空に私たちの嘆きが吸い込まれて白雲が肥大します。潮風でべとついた髪に涙が滲み込んでぐちゃぐちゃになってしまいました。
そんな私たちがあんまりうるさかったのでしょう。
いきなり冷蔵庫が開き、中からペンギンが出てきました。そして、まず最初に、兄の頭をその平べったい翼ではたき、続いて私の頭もはたきます。よちよちとまるい背中を左右に揺らして冷蔵庫に戻った後も、私たちはシンとしておりましたが、ペンギンにはたかれた頭はたしかにひいんやりと冷たくて、ついに私たちはある可能性を思いつきました。私たちは二人で取っ手を握り息を合わせてドアを開けます。すると中にはラムネの瓶が二本、しっかりと冷えておりました。
それから私たちは岬の先端に腰掛けて、コバルトブルーのビー玉をからんころんと鳴らせました。私たちの頭上を、冷蔵庫から飛び出したペンギンたちが弧を描いて海に飛び込んでいきます。
発掘2
前回のタイトル競作「冷気」にと書いてそれっきりだったようです。元のタイトルから遠いのは相変わらずなので新しいタイトルをつけてみる。
コミックオペラをやりたかったんだろうなあ、と。
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