2006年12月28日木曜日

回転するせかいのはてな

 無数の回転するせかいのはてなが、ある一点で出会い相互に引き合いながら多軸的に回転し離れて行くが、そこで交された会話は場に蓄積される。
「水平線にたなびく紫雲が硝子のやどかりにノスタルジーを想い起こさせるとき、海より静かに寄せる沫から弾ける空気の行方はどこか」
「ある個体の夢に取り残されたこびとが白霧の森を歩くのに使う樫の杖の在り処は」
「湖面に煌めく光の滴の総量が弾ける以前よりも少ないのは何故か」
「流れ星に放たれた三つの願い事が三重の螺旋を描いて空に昇る過程で互いが互いに掛ける言葉は何か」
 蓄積される記憶の中に、あらゆる疑問を試すモデルが構築される。回転するせかいのはてなが疑問を吐露し尽くしたとき、ついに臨界点を迎え、宇宙は生まれた。
 しかしその間際に生まれたはてながいくらか、自身の抱える疑問を口の中で反芻しながら駆けてくるのだが、創世に間に合わない。故に今でも宇宙の裏側では、回転するせかいのはてなが、我々には考えつかない疑問を自身に問うているのだ。

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