2007年5月13日日曜日

ことり

「ことり」

 ことりのいる生活に憧れて家を出た。何羽ものことりに「一緒に住んでくれませんか」と頭を下げ続けて、七十三羽目でやっと了解してくれることりに出会う。一緒に暮らすにあたっていくつか約束をした。

 一 互いの私生活に一切干渉しない
 二 食事は人間がことりの分も用意する
 三 人間はことりの安眠のため夜九時以降は騒音を起こさず、またことりも人間のために朝七時半以前に囀ることを控える
 四 知人・家族を自宅に招く場合には、事前に相手の了承を取る
 五 以上の約束事は互いが有意に破棄できるものとする

「これでいいのかい?」「ええ、十分だわ」その小さな脳味噌でどこまで覚えていられるものかと思ったけど、ことりは従順に約束を守り続け、僕もまた守り生活している。初めの頃は喧嘩するとお互い五番目の約束を持ち出すことが多かったが、一年が経つ頃にはそれもすっかりなくなっていた。



 江國香織の「ぼくの小鳥ちゃん」が頭からはーなーれーなーいー。や、良い作品です。


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