2007年11月11日日曜日

白い棺

「白い棺」

 明かりのない夜道を、白い棺を担いで歩く一行がある。一行は皆黒服に身を包んでいるため、白い棺だけがボウと光り浮かんでいるように見える。
 一行は山の方から来て海へ向かっている。棺を流すためだ。夜のうちに棺を流し、死者は天に昇らなければならない。昇れなければ魂が消滅してしまうのだ。御天道様が強すぎるが故に。
 音のない浜辺に棺を下ろし、心なしか明るくなってきた東空を背負いながら一行は棺を海へと送り出す。白い箱は波の寄せて返す律に沿い沖へ沖へと進んでいく。いつか水平線の彼方に達したとき、死者の魂は天に到達するのである。

 今朝はそういう夢を見た。右手を握り、開き、見下ろす。いつか自分がそうなったときも、誰かが送り出してくれるのだろうか。葬式があるのは遺された人のためであると思っていたけれど、誰のためでもなく自分のために、そういう人が居て欲しいと今は願う。



 今年も文学フリマに顔を出してきましたことよ。
 今年の収穫物ははやかつ作品集と超短編マッチ箱第七号。うまうま。
 お会いした方々も相変わらず元気そうでなにより。
 ねたかんとは友達以上恋人未満忠義の仲を再確認出来て喜ばしい限り。脳内亭さんも相変わらず有難い。

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