「盲目少女」
盲目少女は七歳のときに光を失った。菌が眼球をすっかり虫食いにしてしまったのだ。痛みはなかった。
涙と思っていたものは融けたガラス体で、ねえおかあさん、と母親の方を向き直ったとき母親はすぐには助けてくれなかった。理由は母親の息を呑む音で判ってしまった。哀しかった。そのときにはもう何も視えなかったけれど、窪んだ目の穴に残った水溜りみたいなガラス体に夕陽が反射して、きらきらと、ちくちくと、とおい昔に両親に連れられて行った岩場の浅瀬をぼんやりと思い出すのだった。
岩場の浅瀬。バケツいっぱいにあさりとざりがにと綺麗な石を拾った。波の音なんて少しもしなくて、びょおうびょおうと風が吹くばかりで、見上げた父の顔は夕陽の陰影に隠れていたけれど微笑んでいたのは確かだった。
――、おいで!
母親に呼ばれて盲目少女は浅瀬に足を入れ脛まで濡らす。水はひいんやりと冷たかったがすぐに肌に馴染み、ビーチサンダルは水の抵抗で重く、磯の香りは一層強くなる。ようやく辿り着き母が見せてくれたのは水平線ぎりぎりを横切るタンカー。いつまでも横切り続けていた――。
鍋が泡を吹く。この日はあさりの味噌汁だった。ねえおかあさん。おかあさん。いつまでも、ずっと、盲目少女は母親を呼んでいたような気がする。
あーうー。何から書いたらいいんだか。とりあえずメモメモ。
・タカスギさんの第一回コトリの宮殿に出品し損ねる。
後は推敲するだけだったのにクリスマスでどたばたしてたらすっかり忘れてしまったのです。
・吸血鬼の話
800字掌編は今野ベストの+αに引っ掛かってたらしい。うん。分母を考えれば一生分の運を使い果たした気分。
・クリスマス
気が付いたら終わってた。クリスマスケーキは無事全部売れました!ばんじゃい。
��ちっ、残ってたらロスでタダ食い出来たのになッ)
・来月ひょうた君と女王様が一緒に風呂に行くとか行かないとか。
はあはあしてきた。反省はしてない。
ではでは皆様良いお年を。
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