「クジラと超彗星リンダ」
夏休みの課題のために図書館へ行った。五十年前にこの町で発見されたクジラについて調べるのだ。
当時、浜に打ち上げられたクジラは新種ではないかと噂されたらしい。しかし既存種であることがわかって町民をひどくがっかりさせたという。結局クジラは海に帰る前に死んだ。墓は岬に立てられ、以来町の小さな観光名所になった。先週、父さんと岬の墓へ行ったときにその話を聞いてとても腹が立った。何がって、全部。
埃の舞う一室で古い新聞を調べ、僕はとうとう発見する。昭和三十三年八月某日、Y県P村に新種鯨、打ち上げられる。僕はノートに内容を写した。
それから前後の記事を調べていて、僕はとある記事を見つける。超彗星リンダ、と題された記事は新聞の隅で肩身狭そうに縮こまっていた。超彗星リンダ――その響きがいやに気に入った。只者ではない超彗星リンダは、夜空に野太い筆で力強く光る白墨を引くのだろうか。それは隕石みたいだ。
超彗星リンダは同年九月中頃に降るだろうとA氏は予測する、とその記事は締め括っていた。クジラの墓の上空に超彗星リンダは訪れたのか。だったらいいなあ。
切り抜きのファイルを閉じると埃が舞った。夕陽に透けてきらきら光る。
超彗星リンダの一本釣り。
これをいさや関数に放り込むとこんなものが出力されるわけです。
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