2009年3月20日金曜日

柊の原

「柊の原」

 柊の葉がびっしりと植えられた原を歩くの。そこは雪で覆われていて柊の葉は見えないんだけど、裸足で歩くから、ざくざく、ざくざくって足に柊の葉が刺さるの。血が出るの。真白な雪の原に血の跡が続くの。とても痛いの。なんで私はこんな目に会わなきゃいけないのってぼろぼろ泣くの。けど私は歩かなきゃいけないから歩くの。だってそういう風にメイレイされたから。私は歩くの。柊の原を歩くの。真赤な血が真白な雪を染めるの。
 もうだめ、倒れちゃう。そう思った頃に地平線の彼方に人影が見えるの。私を優しく抱きしめてくれる素敵な人で、私はその人を目指すの。そこまで行ければ私はもう大丈夫。私は泣きながら笑って、あともう少しもう少しって自分に言い聞かせるの。そうしたら柊の葉が突然芽吹いて、一瞬で巨大な柊の森になるの。私は途方に暮れるの。


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