「来年咲く花」
「来年っていつ?」
真顔で訊かれると私は困ってしまう。一日一日が三六五回来たら、カレンダーを十ニ回捲ったら、四季がぐるっと一周したら。どれも効果的な説明ではない気がする。
「いつ咲くんだろうねー?」
爆発する寸前で踏み止まる蕾。マンション七階のベランダの隅で"来年"を待っている。
――いつか咲くよ。
不意に口を衝いて出た「いつか」に腑に落ちる感覚を覚える。「いつか」がいつかと訊かれたら、来年、と答える他はないけれど、少なくともこの子にとってはより具体的な答えになるだろう。
「いつかかぁー。まだまだ先だねえ」
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ひょーたくんとこの10のお題より
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