2009年12月7日月曜日

謎ワイン

「謎ワイン」

――(無記名)1918年――

 人というものは、扱うものの種類が増えるとそれらを整理し管理するために分類を行う。製造方法、品種、産地、製造年月日に製造者、区別できるものなら何でも区別したがる。そうして分類した挙句ブランドを作ってありがたがったりと、とにかく人というものはせわしない。
 だから謎ワインのようなものが現れる。
 謎ワインは世界中のワインが集まるワインセラーの片隅に身を潜めていた。フランス産、山梨生まれ、そんなワイン達の間にそ知らぬ風に紛れていた。
 しかし人は愚かなので、ラベルに書いてある記述を疑わない。正確には、たとえばフランスや山梨といった名を持つ地が世界のどこかにあると信じてしまう。謎ワインは人のそんな油断につけ込んだ。存在しない土地で人々の知らない方法で醸造され、進化の系譜から忘れ去られた葡萄の親戚で作られた謎ワイン! ラベルに記された情報は嘘ではないけど本当だとは誰にもわからない。
 ただし確かなのは、それはグラスに注ぐと処女の生き血を固めた宝石のように見え、そして美味であることのみである。

��**

というようなものを書いてみたものの、気に入らなかったので没。
あまりにもそのまんますぎる。

今回はお手上げ。

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