2010年1月12日火曜日

暁の真ん中で

「暁の真ん中で」

彼が磔にされてから幾日も過ぎた。その度に彼は日が昇る様を見てきた。太陽は常に彼の眼前に迫り上がってきた。夜を加速度的に駆逐し、その暴力的な眩しさでもって彼の眼を貫いた。彼と太陽の間を遮るものは何もなかった。夜半に激しく降った雨でさえも暁の間だけは遠慮した。太陽との対峙には何らかのメッセージがあるのか、彼は茫漠とした思考をさ迷うが一向に解は得られなかった。
そして今日もまた日が昇る。永く果てしない夜が終わる。一夜一夜がそれぞれまったく異なる種類の旅であったが、夜明けが近付くにつれて夜の旅路は太陽との対峙の一点に集約される。明けない夜はないのだと思い知る。自転の速度を体感する。太陽の足音が地平線の彼方から聞こえてくる。星は居場所を失い薄らいでいく。彼の眼球は動きを止め視点は一点に固定される。じりじりと夜が駆逐されていく。何物も侵攻を阻めない。夜が明ける。あらゆる意思を無視して。乱暴に、公平に。

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というわけでひょーたくんのお題は一通り終了。


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