2010年1月9日土曜日

読書の残骸

「読書の残骸」

たとえば読み落とした文字や言葉。「リリコの素敵な靴」と「リリコにとって素敵な靴」を厳密に読み分ける人は少ないだろう。思い出そうとしてみて、あれどっちだったっけ、と考え間もなく、どっちでもいっか、と思うものである。大抵の人にとってこの場合肝心なのは、その靴がリリコに帰属されるもので、リリコはその靴を素敵だと思っていることを読み取ることだからだ。
そんな風に、この世には読み手(特に乱読家!)に読まれもしなかった文字や言葉が少なからずある。読まれた文字がむしゃむしゃと消費されて虫食いになるとしたら、その残骸の存在はより顕著になるだろう。

そんな文字や言葉を集めて、粘土みたいにこねてオブジェを作ってみる。
��冊の本の残骸からn+1冊目の本ができることだって、たぶん、ある。


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