2010年1月9日土曜日

暗夜回路

「暗夜回路」

僕らは暗闇の中に機械的に割り振られた点であり、巨大なモニターに映り出された1ドットである。彼らには道が見えていて、僕らには見えていない。彼らにとって僕らの彷徨は不思議で興味深いものであるから、彼らは僕らの動きから何らかの規則性を見つけ出そうとする。
どこへ行けとも言われていなかった。しかし立ち止まるなと言われた。歩け。とにかく歩け。歩け、歩け、歩け。
これは人生に似ている。キャリアに似ている。終わりのない会話にも似ている。
回路は複雑で、あっという間に自分の居場所がわからなくなった。何度も同じ場所を歩いていたのか、回路全体の1パーセントも歩けたのか、何もわからない。今さっきあるいてきた道さえも。
地面はあるらしい。壁もあるらしい。たぶん天井もあるのだろう。けれども僕らの視界には暗闇しかない。あると思ってるだけで本当は僕らというものもないのかもしれない。


0 件のコメント:

コメントを投稿