2010年1月4日月曜日

胡桃割り人形の錯乱

「胡桃割り人形の錯乱」

胡桃とは彼の本質の半分を形成する要素である以前に、一果実であるため、この世の全ての胡桃を残らず割り尽くしてしまえばもう二度と新しい胡桃が得られなくなるのは道理だったのだ。そんな簡単な事実でも彼を絶望させるには十分だった。しかしいつまでも突っ伏しているわけにもいかなかった。彼は胡桃に代わるものを探した。飴玉、巻貝、チェスの駒。いずれも何かが違った。胡桃の代わりにはなりえなかった。しかし古を懐かしんでも胡桃は帰ってこない。かくして彼はその顎に挟めるものを次々と試すのだ。石炭、小動物の頭蓋骨、リップクリーム……。彼自身も自覚していないことだったが、彼はこのようにして胡桃というものが永遠に失われてしまったことを悲しみ、また、自己を回復させる試みを続け、そして胡桃割り人形からの脱却を模索しているのである。

��**

広辞苑第五版先生曰く、胡桃は果実である。へぇ。
また、「【果実】種子植物の花が受精し、その子房および付随した部分の発育・成熟したもの。中に種子を含む。」ということなので、「果実⊇種子」ということになるのかしらん。
胡桃はいわゆる種子なのかどうか迷ってしまいましたことよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿