つきがある。
草むらから、ぴょん、とうさぎが顔を出した。隣でウサギがうさぎに気付いて振り向く。ウサギはうさぎの姿を見て、自分とは違うところがあるなと思った。うさぎが跳ねたら、もふ、ぽふ、という擬音が似合いそうだが、ウサギが跳ねたら、背景のつきに対して黒い影が風のように通り過ぎるようで、ちょっと鋭すぎるように思う。月を背景にしたら、たぶんちょうどいい。
つきにうさぎ、月にウサギ?
兎が異議を申し立てる。兎にこそ月だろう、と。しかしウサギは譲らない。うさぎはきょとんとやり取りを見ている。つきと月は並んでお互いの丸さを褒め合っている。ツキは自分をつきや月の仲間に含めていいのか迷っている。つきと月とツキは、ツキを頂点として夜空に三角形を結んでいる。うさぎはツキとつきと月を見て首を傾げている。うさぎの後ろではウサギと兎がひと塊になって草むらを転げまわり、喧嘩をしている。
いけいけー、やれやれー、とけんかとケンカがヤジを飛ばしていて、やじと野次は次に自分が飛ぶのを待っている。
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