「ペパーミント症候群」
瓶の中のホムンクルスにペパーミントの種が根付いたので、その子だけ違った特性を備えるようになった。根が彼女の背を割っている。芽吹いたばかりの双葉は青々しく、まるで翼が生えたみたいだった。ホムンクルスは喋らない。意思表示をしない。混沌とした意識の海を漂っている。
最初の変化は、自身の容姿に対する関心の発現だった。髪をいじる、伸びた爪を噛み切る、ガラスの内壁に移った自身を観察する。これらの現象から上記の仮説を立て、瓶の中にビーズを数粒投入してみた。彼女は培養液の中を泳ぎ下り、拳大のビーズを持ち上げる。翌日にはビーズに髪を通し、頭頂部でまとめていた。
今度は苺味の飴の破片を投入してみた。しかし味覚はまだ発達していないようで、明りに透かすに留まった。
次に衣服を作製し投入する。彼女はそれが何なのかわからないようだった。瓶の前に子役モデルの写真を立てる。その日の内に彼女は衣服を着ることを学習した。
私はこれらの発見事実に興奮を隠せずにいた。しかし、間もなく彼女は恋煩いを発症する。瓶に手のひらを押し当て私を見上げる。
月夜の晩に彼女は亡くなる。瓶の蓋を開けると、ミントの香りがきつく漂った。
��**
タイトル競作。○:4、△:0、×:0
やろうとした内容に比して練り込みが圧倒的に足りていないので、いつか(……)書き直したい。
個人的な印象として、「ペパーミント」には「ミント」とか「薄荷」といった類似した単語にはない独特のニュアンスがある気がする。少女性というか、メルヘンチックな感じというか、そんなニュアンス。それがどういう文脈に由来するものなのかわからないけれども、そういうニュアンスはどうやら自分ひとりだけのものでもないらしい。
そんなわけで常々「ペパーミント」という語は不思議な単語だなあと思っておったのです。はい。
今回の競作でも、そういうニュアンスの作品が結構多かったので、ああやっぱりと思う反面ますます不思議に思ったりもしたのでした。そらんじは思いっきり釣れたしー(笑)。
というわけで取り急ぎ。
2010年8月15日日曜日
2010年7月3日土曜日
てのひら怪談 庚寅
【てのひら怪談 庚寅 (ポプラ文庫)】
http://www.bk1.jp/product/03273444
……というものが一ヶ月ほど前に出て、先日には増刷が決定し、売れ行きはなかなか好調なようです。
ビーケーワン主催のビーケーワン怪談大賞の第6回と第7回から選りすぐりの作品が収録されております。
拙作「傘の墓場」と「東の眠らない国」もお邪魔させていただいております。
さらにさらに。
オンライン書店ビーケーワンで御購入いただくと、第6回、第7回の大賞・優秀賞受賞者による書き下ろし掌編が購入者特典としてついてきます。
ビーケーワン以外で買ってしまった、という方はもう一度ビーケーワンでお買い求めいただくとよいと思います。
大事なことなのでもう一度。
ビーケーワン以外で買ってしまった、という方はもう一度ビーケーワンでお買い求めいただくとよいと思います。
第8回ビーケーワン怪談大賞も開催中です。
http://blog.bk1.jp/kaidan/
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ビーケーワン以外で買ってしまった、という方はもう一度ビーケーワンでお買い求めいただくとよいと思います。
大事なことなのでもう一度。
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嘘泥棒
「嘘泥棒」
嘘を嘘で塗り固めた女がいる。
「私の伯父はハンガリーでレストランを経営していて、お客さんにはウィーンフィルのね——」
壊れたラジオのようだ、と道行く人々は思う。身なりに反してその瞳は澄んでいる。ああ狂っているのだな、と人々は結論づける。人々の一部は女の膝に硬貨を放る。女はスイスの春を叙述している。
女にとって嘘は幼い頃より見栄であり慰みであり真実でありそして未来である。
男が手を叩く。女の瞳は急速に濁り、男を睨みつける。皺一つないスーツ、ぴかぴか光る黒革の靴。
「私も仕事柄フロリダに足を運ぶことが多いのです。先日、そこでNASAの研究者と——」
男は女の嘘に侵食する。女の世界にその影をちらつかせる。女は、あなたはご存知ないかもしれないけれど、と枕詞を置く。しかし男は女の世界の隅々にまで通じている。
男は決して女の嘘を暴かない。代わりに書き換える。徹底的に。
「そろそろお邪魔しますね」
今や女は深窓の令嬢ではなく地球を守る秘密結社の女幹部である。月蝕と共に訪れる魔王軍の襲来、未来人との超次元貿易、森羅万象に宿る意思。整合性は欠片もない。
男はこれからハンガリーに行くのだという。
��**
タイトル競作「嘘泥棒」
○:4、△:2、×:3
逆選王作品
解題については心臓掲示板よりコピペ。
��**
今回は真面目に書きすぎた結果、なんだか堅苦しくなってしまったなあともやもやしていたのですが、いやはや。
拙作に関しては、最後の一行で"嘘を盗む"が成立したことが伝われば及第点かなと思っていました。
『嘘泥棒』という語を素直に解釈すると『嘘を盗む人』になるだろうと考え、じゃあ嘘を盗むって何だ、ということをぐるぐる考えるところから始めました。
そもそも嘘ってなんじゃらほい。嘘って虚を口にすると書くよねー。口にするのは言葉。虚である言葉といえば、たとえば空想とか妄想とか(あるいは小説?)。嘘は、言葉で構築される虚構の世界、ぐらいの捉え方にしようか。
じゃあ、嘘を盗むってなんじゃらほい。盗むってことは盗む側と盗まれる側がいるのだろう。その過程ってどのように成し遂げられますのん。盗む、盗む、盗む……ムムム、元々盗まれる側に所有されていたものが何かしらの非合法的・手酷い方法・相手の同意を得ない方法で以て盗む側の所有になることかしらん。じゃあそれってどういう方法だろう。虚構の世界の持ち主が変わる……たぶん、それは革命やクーデターよりももっとずっとしたたかな方法でなければならない。ハテサテ。どうしたものか……まず、盗む側が盗まれる側の世界と同期する。次に、その世界から盗まれる側を追放する。そして、世界の中心に盗む側が居座る。おそらくそんなプロセスなんだろう。
……というようなことを考えながら書いたのでした。解題の代わりとして。
��**
という具合。
��私信
��15>か<21>のどちらかだろうと踏んでいたのだけども、そうか、そっちだったか。
嘘八百でも八百万でも八百屋でも、なんで“たくさん”の意が「八百」なんだろう。あ、八百がゲシュタルト崩壊してきた(笑)。
嘘を嘘で塗り固めた女がいる。
「私の伯父はハンガリーでレストランを経営していて、お客さんにはウィーンフィルのね——」
壊れたラジオのようだ、と道行く人々は思う。身なりに反してその瞳は澄んでいる。ああ狂っているのだな、と人々は結論づける。人々の一部は女の膝に硬貨を放る。女はスイスの春を叙述している。
女にとって嘘は幼い頃より見栄であり慰みであり真実でありそして未来である。
男が手を叩く。女の瞳は急速に濁り、男を睨みつける。皺一つないスーツ、ぴかぴか光る黒革の靴。
「私も仕事柄フロリダに足を運ぶことが多いのです。先日、そこでNASAの研究者と——」
男は女の嘘に侵食する。女の世界にその影をちらつかせる。女は、あなたはご存知ないかもしれないけれど、と枕詞を置く。しかし男は女の世界の隅々にまで通じている。
男は決して女の嘘を暴かない。代わりに書き換える。徹底的に。
「そろそろお邪魔しますね」
今や女は深窓の令嬢ではなく地球を守る秘密結社の女幹部である。月蝕と共に訪れる魔王軍の襲来、未来人との超次元貿易、森羅万象に宿る意思。整合性は欠片もない。
男はこれからハンガリーに行くのだという。
��**
タイトル競作「嘘泥棒」
○:4、△:2、×:3
逆選王作品
解題については心臓掲示板よりコピペ。
��**
今回は真面目に書きすぎた結果、なんだか堅苦しくなってしまったなあともやもやしていたのですが、いやはや。
拙作に関しては、最後の一行で"嘘を盗む"が成立したことが伝われば及第点かなと思っていました。
『嘘泥棒』という語を素直に解釈すると『嘘を盗む人』になるだろうと考え、じゃあ嘘を盗むって何だ、ということをぐるぐる考えるところから始めました。
そもそも嘘ってなんじゃらほい。嘘って虚を口にすると書くよねー。口にするのは言葉。虚である言葉といえば、たとえば空想とか妄想とか(あるいは小説?)。嘘は、言葉で構築される虚構の世界、ぐらいの捉え方にしようか。
じゃあ、嘘を盗むってなんじゃらほい。盗むってことは盗む側と盗まれる側がいるのだろう。その過程ってどのように成し遂げられますのん。盗む、盗む、盗む……ムムム、元々盗まれる側に所有されていたものが何かしらの非合法的・手酷い方法・相手の同意を得ない方法で以て盗む側の所有になることかしらん。じゃあそれってどういう方法だろう。虚構の世界の持ち主が変わる……たぶん、それは革命やクーデターよりももっとずっとしたたかな方法でなければならない。ハテサテ。どうしたものか……まず、盗む側が盗まれる側の世界と同期する。次に、その世界から盗まれる側を追放する。そして、世界の中心に盗む側が居座る。おそらくそんなプロセスなんだろう。
……というようなことを考えながら書いたのでした。解題の代わりとして。
��**
という具合。
��私信
��15>か<21>のどちらかだろうと踏んでいたのだけども、そうか、そっちだったか。
嘘八百でも八百万でも八百屋でも、なんで“たくさん”の意が「八百」なんだろう。あ、八百がゲシュタルト崩壊してきた(笑)。
2010年5月31日月曜日
その日、目が覚めてからメロンパンを食べるまでの出来事
「その日、目が覚めてからメロンパンを食べるまでの出来事」
ベッドからメロンパンのあるテーブルまで、直線距離でおよそ二メートル。一瞬のタイミングで全てが決まる。体を反転させ、その勢いをバネにして布団を蹴り、一歩で踏み込みメロンパンを掴み取る。それ自体は決して難しいことではない。一、二、三。タイミングさえ外さなければ。
夢の中で何度もシミュレーションを繰り返し、その瞬間を待つ。その瞬間とは、あるときは目覚まし時計で、あるときは新聞を投げ入れる音で、またあるときは朝帰りの大学生の嗚咽だ。何が合図なのかわからないのはお互い様だけど、僕らはそれが合図だと間違いなくわかるのだ。
ぶへっくしょい、とお隣さんのくしゃみ。
お隣さんが鼻を啜る前に駆けだした。一、二、三。二メートルを一歩で埋める手を伸ばす。勝った、と思ったその間際、指先を掠めてメロンパンが逃げていく。カメよろしく四本の足を生やし、のそりと追撃を避けたのだ。(たしかに甲羅っぽいかもしれないけど!)と僕はいつも呆れてしまう。神様のナンセンスなジョークというやつだ。ご丁寧にも彼は毎朝メロンパンに命を吹き込んでくれる。癪なので僕もつい真っ向勝負を仕掛けてしまうのだ。
こうなってしまったら、後はアキレスとカメよろしく追いかけっこをする他ない。決して埋まり切らない差を埋め続けるのだ。ただの一度でも秒針が動いてくれれば追いつけるのに。
��**
なんて楽しいタイトル案なんだ! と思い嬉々と書いてしまいましたことよ。
生存報告。
ベッドからメロンパンのあるテーブルまで、直線距離でおよそ二メートル。一瞬のタイミングで全てが決まる。体を反転させ、その勢いをバネにして布団を蹴り、一歩で踏み込みメロンパンを掴み取る。それ自体は決して難しいことではない。一、二、三。タイミングさえ外さなければ。
夢の中で何度もシミュレーションを繰り返し、その瞬間を待つ。その瞬間とは、あるときは目覚まし時計で、あるときは新聞を投げ入れる音で、またあるときは朝帰りの大学生の嗚咽だ。何が合図なのかわからないのはお互い様だけど、僕らはそれが合図だと間違いなくわかるのだ。
ぶへっくしょい、とお隣さんのくしゃみ。
お隣さんが鼻を啜る前に駆けだした。一、二、三。二メートルを一歩で埋める手を伸ばす。勝った、と思ったその間際、指先を掠めてメロンパンが逃げていく。カメよろしく四本の足を生やし、のそりと追撃を避けたのだ。(たしかに甲羅っぽいかもしれないけど!)と僕はいつも呆れてしまう。神様のナンセンスなジョークというやつだ。ご丁寧にも彼は毎朝メロンパンに命を吹き込んでくれる。癪なので僕もつい真っ向勝負を仕掛けてしまうのだ。
こうなってしまったら、後はアキレスとカメよろしく追いかけっこをする他ない。決して埋まり切らない差を埋め続けるのだ。ただの一度でも秒針が動いてくれれば追いつけるのに。
��**
なんて楽しいタイトル案なんだ! と思い嬉々と書いてしまいましたことよ。
生存報告。
2010年4月24日土曜日
死ではなかった
「死ではなかった」
彼女は(おやすみなさい)と言って、すうっと眠りについたきり目を覚まさない。今日も眠ったままだ。この事は誰にも知られてはならない。彼女の両親にさえもだ。
「お正月、遊びに来てね」
電話越しの義母に、はい必ず、と嘘をつく。
夜半、ほとんど聞こえない寝息を立てる彼女を抱き抱え、車に乗せる。助手席に座らせちゃんとシートベルトも締める。僕らは無人の住宅街を時速80kmで突っ走る。けれど僕らはどこにも行けないまま帰ってきてしまう。本当は宇宙船の救命ポッドに閉じ込められたまま火星の衛星になってしまいたいのにと思っている。
薬を渡した時、彼女はそれがただの睡眠薬ではないことを知っていた。ぴかぴかの赤白のカプセルを摘んでしげしげと眺め、
��飲んでもいいの?)
と目を輝かせ、それが繊細な硝子細工であるかのように手のひらに乗せた。
「水は?」
��いらない)
そして彼女は手のひらを口に当てて天を仰いだ。羽が生えたように見えた。
それから薬が効き出すまでの一時間、僕らは冷たい窓辺の下で並んで膝を抱えた。そしていつか世界からあらゆる乱暴で野蛮なものたちが一つの例外もなく死に絶えて本当に美しいものだけが残る未来について語り合ったのだ。
��**
タイトル競作 ○:3 △:1 ×:0
・今回一番びっくりだったのははやかつ票
・いつもながらのロクでもなさ。なぜ私はこのようなものを書くのでしょう?(訊くな)
・というわけで参加してました。ふふふん。
・片やこちらもじつは17がそうじゃないかと踏んでいたのだけども選評で触れていて途端にわからなくなったという。そうか、ふりだしに戻ればよかったのか。
そんなこんなで気付けば一月半も音沙汰無しでした。
その間何をやっていたかというと、前回のエントリより引き続きフリゲ三昧で一通り飽きるまでやってみたり、原稿の校正をやってたり、それなりに忙しくしておりましたことよ。
取り急ぎにつき。
彼女は(おやすみなさい)と言って、すうっと眠りについたきり目を覚まさない。今日も眠ったままだ。この事は誰にも知られてはならない。彼女の両親にさえもだ。
「お正月、遊びに来てね」
電話越しの義母に、はい必ず、と嘘をつく。
夜半、ほとんど聞こえない寝息を立てる彼女を抱き抱え、車に乗せる。助手席に座らせちゃんとシートベルトも締める。僕らは無人の住宅街を時速80kmで突っ走る。けれど僕らはどこにも行けないまま帰ってきてしまう。本当は宇宙船の救命ポッドに閉じ込められたまま火星の衛星になってしまいたいのにと思っている。
薬を渡した時、彼女はそれがただの睡眠薬ではないことを知っていた。ぴかぴかの赤白のカプセルを摘んでしげしげと眺め、
��飲んでもいいの?)
と目を輝かせ、それが繊細な硝子細工であるかのように手のひらに乗せた。
「水は?」
��いらない)
そして彼女は手のひらを口に当てて天を仰いだ。羽が生えたように見えた。
それから薬が効き出すまでの一時間、僕らは冷たい窓辺の下で並んで膝を抱えた。そしていつか世界からあらゆる乱暴で野蛮なものたちが一つの例外もなく死に絶えて本当に美しいものだけが残る未来について語り合ったのだ。
��**
タイトル競作 ○:3 △:1 ×:0
・今回一番びっくりだったのははやかつ票
・いつもながらのロクでもなさ。なぜ私はこのようなものを書くのでしょう?(訊くな)
・というわけで参加してました。ふふふん。
・片やこちらもじつは17がそうじゃないかと踏んでいたのだけども選評で触れていて途端にわからなくなったという。そうか、ふりだしに戻ればよかったのか。
そんなこんなで気付けば一月半も音沙汰無しでした。
その間何をやっていたかというと、前回のエントリより引き続きフリゲ三昧で一通り飽きるまでやってみたり、原稿の校正をやってたり、それなりに忙しくしておりましたことよ。
取り急ぎにつき。
2010年3月6日土曜日
しっぽ
「しっぽ」
シーン1:路地裏にて
露店でしっぽが売られている。犬、猫、豚にはじまり、鸚鵡、鰻、蜥蜴、蛙、蠍、しまいには鯨のものまである。
「意外と需要はあるものですよ」
シーン2:ネオン灯る帰路
興味本位で猫のしっぽを買ってみた。手渡されたそれは私の手の中でだらりと垂れ、見た目以上に重たく感じられた。もともとの持ち主は黒猫であるようだった。丸めてコートのポケットに入れる。しっぽはぐたりと力無い。私は何度も滑らかな断面を指でなぞる。
シーン3:しっぽはどこ?
世界のどこかにしっぽを失った黒猫がいる。彼がそれを失ったのはそれがないと気付いた瞬間だった。以来彼はいくつもの屋根を渡り歩いている。満月を背景にしっぽを失った黒猫が歩いている!
シーン4:ユーイチのユーウツ
学校から帰るとユーイチはランドセルを部屋の隅に放り出した。今日は夜まで一人だ。外はじめじめ雨。電気を点けるのも面倒でテレビの明かりを代わりにする。適当にチャンネルを回す。面白くない。砂嵐、砂嵐、砂嵐。その狭間にぱっと屋根を歩く黒猫のカートゥーンアニメが映る。よく見れば黒猫にはしっぽがない。ユーイチは目を離すことができずにただジッと見入っている。
��**
没作品。
∵納得がいかなかった
この種の試みは非常に難しいです。節と節が近すぎたら分ける意味が薄いし、かといってばらばらすぎてもいけない。それぞれの距離感をどう取るかが、むー。
近頃は「へんぐえ」の方に顔を出したりと細々動く一方で、フリーゲームなんぞにも手を出していたり。
シルフェイド幻想譚とか魔王物語物語とかイストワール(現在進行形)とか。
特に魔王物語物語は非常に考えさせられる内容だったのでいずれ気力と根気と体力があれば語ってみたいなと思う。
シーン1:路地裏にて
露店でしっぽが売られている。犬、猫、豚にはじまり、鸚鵡、鰻、蜥蜴、蛙、蠍、しまいには鯨のものまである。
「意外と需要はあるものですよ」
シーン2:ネオン灯る帰路
興味本位で猫のしっぽを買ってみた。手渡されたそれは私の手の中でだらりと垂れ、見た目以上に重たく感じられた。もともとの持ち主は黒猫であるようだった。丸めてコートのポケットに入れる。しっぽはぐたりと力無い。私は何度も滑らかな断面を指でなぞる。
シーン3:しっぽはどこ?
世界のどこかにしっぽを失った黒猫がいる。彼がそれを失ったのはそれがないと気付いた瞬間だった。以来彼はいくつもの屋根を渡り歩いている。満月を背景にしっぽを失った黒猫が歩いている!
シーン4:ユーイチのユーウツ
学校から帰るとユーイチはランドセルを部屋の隅に放り出した。今日は夜まで一人だ。外はじめじめ雨。電気を点けるのも面倒でテレビの明かりを代わりにする。適当にチャンネルを回す。面白くない。砂嵐、砂嵐、砂嵐。その狭間にぱっと屋根を歩く黒猫のカートゥーンアニメが映る。よく見れば黒猫にはしっぽがない。ユーイチは目を離すことができずにただジッと見入っている。
��**
没作品。
∵納得がいかなかった
この種の試みは非常に難しいです。節と節が近すぎたら分ける意味が薄いし、かといってばらばらすぎてもいけない。それぞれの距離感をどう取るかが、むー。
近頃は「へんぐえ」の方に顔を出したりと細々動く一方で、フリーゲームなんぞにも手を出していたり。
シルフェイド幻想譚とか魔王物語物語とかイストワール(現在進行形)とか。
特に魔王物語物語は非常に考えさせられる内容だったのでいずれ気力と根気と体力があれば語ってみたいなと思う。
2010年2月5日金曜日
水溶性
「水溶性」
雨の日が良い。塩の左手に砂糖の右手を握ってどこまでも。
��**
タイトル競作「水溶性」 ○:3(5) △:1(0) ×:0
オギさんから事実上の◎を頂いたので良いのです。
塩男と砂糖娘のお話。いくつかバージョンがあった中で、一番短いのを選んだ。
口に出して読んでみるといささか舌触りが良くないのがちょっと気になる。
「握る」か「繋ぐ」かで迷った挙句、意思の力(みたいなもの)の差分で前者を採用。
以下別ver.
��**
��.
彼女は砂糖で、僕は塩でできている。
雨の日の駆け落ちにドキドキできるのは僕らだけの特権だ。
��**
��.
私は砂糖でできていて、彼は塩でできている。
駆け落ちするなら雨の日。絡め合った指が皮膚より深いところでくっつけるなんて素敵じゃない。
雨の日が良い。塩の左手に砂糖の右手を握ってどこまでも。
��**
タイトル競作「水溶性」 ○:3(5) △:1(0) ×:0
オギさんから事実上の◎を頂いたので良いのです。
塩男と砂糖娘のお話。いくつかバージョンがあった中で、一番短いのを選んだ。
口に出して読んでみるといささか舌触りが良くないのがちょっと気になる。
「握る」か「繋ぐ」かで迷った挙句、意思の力(みたいなもの)の差分で前者を採用。
以下別ver.
��**
��.
彼女は砂糖で、僕は塩でできている。
雨の日の駆け落ちにドキドキできるのは僕らだけの特権だ。
��**
��.
私は砂糖でできていて、彼は塩でできている。
駆け落ちするなら雨の日。絡め合った指が皮膚より深いところでくっつけるなんて素敵じゃない。
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