2006年11月6日月曜日

フラッグ

 、腕の長さのフラッグを垂らしてがりがり歩くアスファルト、階段を上って高台の広場の先っぽで街並みを見下ろし端っこの柵を乗り越え誰も使わない急階段を一段一段フラッグかつんかつん、
「きっと君は辿り着けるさ」
 踏み慣らした靴は土埃で白く汚れて茶色の靴紐は千切れかけていて、
「靴が壊れなかったらよいのだけど」
「踏み鳴らして歩けよ、大地を」
 雑草の中を大地を踏み鳴らしてたんたんたん、ほうらリズムが生まれてきた、弾めよ踊れよ、何もかも、フラッグの先端で刻めよ残せよ、きみの軌跡、
「人気のない道を」
「人気のない道を」
「ぼくらは」
「ぼくらは」
「あるくのさ」
「あるくんだ」
 空を唱和しながら白砂の海岸を、壊れたネオンサインの迷路を、枯葉の森をどこまでも、
「そしてきみはふと立ち止まる」
「それも不意に」
「長い長い坂道の果てだ」
「殆ど岩道で」
「アンダンテのリズムで歩いてきたきみの靴は」
「とうに底抜け」
「それでもきみのフラッグは歩くたびにどんどん立派になっていて」
「金銀ぎらぎらの、きみだけの装飾で」
「きみだけのフラッグだったはずなのに!」
 空に一番近い山のてっぺんにはきみのとまったく同じフラッグがあり、きみは誰かの人生を模倣しているに過ぎなかったのさ、と空と太陽と雲と風と大地と草々のせせら笑い、
「しかしきみはまだ歩けるだろう」
 靴の一声に押されてきみはまた一歩、山を越えて辿り着く未知の世界をフラッグの先端でがりがり歩き、アレグロのリズムで大地をたんたんたん、命が尽きてフラッグを突き立てるそのときまで、



 投下。
 日々バイトで午前様だったり学祭でがきんちょと戯れていたりしていたら、お誕生日おめでとうございますだとか選評だとかをすっかり忘れていたりする。いやん。

 あと、11月30日(木)がお暇な方はこちらがオススメ。生憎ぼくは行けないのだけども、是非とも参加者の感想が聞きたいのです。さあ、何も躊躇うことはないさ、行ってくればいいさ。


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