三つ葉のなだれ
2007年5月5日土曜日
性の起源
「性の起源」
暗くなるとたちまち夕暮れの匂いが立ち込める。茜色の空を見て胸が苦しくなるのは初恋の人を思い出すからで、窓辺で私に背を向けて立っていた後ろ姿を想像する。骨ばった手の平が緩く握られていてそのラインを目で撫でていると彼が振り返り、母の名を呼んだ。そして私はひどく愛しげに父の名で応える。さっきよりも濃くなった夕闇の中で私たちはじっと見つめ合っている。
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