2007年7月2日月曜日

遺書と嘘

「遺書と嘘」

 生まれたばかりの遺書は、いつか遺される人々を良い方向へ導けることを祈ってながい夢を見る。

 乾いた秋空の下、人々は袖を濡らしている。個人の奥方は気丈に振る舞い、三人の息子たちは互いを牽制し合っていた。
 風。
 誰かが捧げた菊の花が、ほわん、と風に乗る。気付く者は誰もいない。花は気流に乗り、風になる夢を見る、遺書の夢の中で。
 いつしかそこはとある中流家庭の窓辺。菊の花は見る。部屋の隅で、金色の老犬が古い毛布に包まり、長い息を繰り返していた。瞼はすっかり閉じられ、もはや開くこともない。老犬は菊の花の気配を感じ、この家庭の女の子に友達が出来たならば、と願望を打ち明けた。菊の花は微かに花びらを震わせる。私にはどうもできないわ。
 そして老犬は一際長い息を吐くと、そのまま動かなくなってしまった。間もなく現れた女の子が泣き崩れる。

 遺書が目覚める時は自身の封が切られる時である。突如差し込む光に目を瞬かせる。遺書は個人から言い付かった言葉を思い返し整理するが、老犬の嘆願が頭を離れない。間に合わない!
 遺族は目を丸くした。
 一体、個人と件の女の子の間にどのような関係があったのだろうか。二重の夢の彼方など人間が知る由もない。




 次は「ゆびきりげんまん」

 高校の頃、仲が良かった人たちが今は~~している、というのを聞くと妙に感慨深くなる。色々わけがあって辞めたものを再び始めてたり、新しいことやってたり。(逮捕された、とかだったらどうなるんだろうね。いや、なくて結構ですが。)


0 件のコメント:

コメントを投稿