「眼玉」
仰向けに手首手足の折れた四肢が繁っている。夕風が吹くと、秋のすすき野に似て四肢がゆらゆら揺れる。
やがて日が暮れ月が出る。と、そこら中のてのひら足のひらがぱっくり割れて眼玉が咲く。眼玉どもは視神経の限り伸びてはぎょろぎょろと何かを探し回っている。やがて対象を見つけ、一斉に凝視する。
それがあなただ。
眼玉どもは一気に膨れ、弾け、灰を空一面に撒き散らす。そうしてあなたは受粉しそこに根を下ろす。
根を下ろす、に字義以上の意味を込められたら勝ち。
「怖いって何だろう?」キャンペーン(?)
怪談については知識が不十分すぎて考察もまともにできないのだけども、怖い、という感覚についてならかろうじて。
結論から述べると、「怖い」には大よそ二種類あって、一つが“心に一生モノの傷が残るようなシャレにならない「怖い」”。もう一つが“うっとりとして惹き付けられるような魔力を持った「怖い」”。これは「幽」という字に相当するのだと思う。
前者が人間としての生物としての本能に訴えかけてくるレベルなのに対して、後者は情感や心の琴線に迫る類のものなのかなあ。特に後者は幻想系と親和性が高いのだと思う。
もしこれからも「怖い」話を書いていくのなら、やっぱり後者を目指したい。
ということを再確認する。
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