「ジャングルの夜」
野良のフタコブラクダと出会う。都会のど真ん中だった。ラクダは四車線の道路を悠然と横切って現れ、僕の前に来ると頭を垂れた。禿げかけた頭に手を添えるとラクダはこそばゆそうに顔を左右に振った。
僕らは旅に出た。出なければならなかった。僕らは地球をくまなく歩き、ときどき曲芸で日銭を稼ぎ(プラハでサーカスに誘われたけれど断った)、いつしか出会った日のことを懐かしく思えるようになった。
おまえの背にのってどこまでもゆけたらいいねえ……。
ある晩、僕らはジャングルで床に着いた。できるだけたくさん火をくべ、僕らは身体を寄せ合い丸くなっていた。こんな夜は早々に眠ってしまうに限る。すっかり嗅ぎ慣れた匂いに包まって空を見遣ると、焚火の白い煙がうっすらと覆っていた。その様子がいつか見た湖の霧に似ていると思ったところで記憶が途切れた。
――のっそりと動く気配がある。後足、前足。去る間際、ためらいがちにこちらを振り向いた、気がした。
待って! と声を上げかけたところで目が醒める。真っ暗だった。火が消えたのだろう。薄らぼんやりとした空がふっと色を取り戻すとそこは都会のど真ん中だった。
停電だったようだ。喧騒が戻ってくる。
異種格闘技戦(?) ラクダとジャングルはどこまで共存できるか。
タイトル競作 ○:3 △:1 ×:1
正選王に届かない。ここ数回はずっと三番手くらい。な気がする。
とはいえ砂場票を獲得できた時点で「よし」と思う。06年のトーナメントで負けてからは勝手にライバル認定です(迷惑)。
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