2008年12月28日日曜日

三月のゆりかご

「三月のゆりかご」

 私の一番古い記憶は一枚の写真のように、頭の隅の箱の中に納められている。それは輪郭の曖昧な写真だ。三月のゆりかごの中で私は空を見ていて、その私を取り囲むように黒い大きな影たちがゆらゆら立ち並び、私を覗き込んでいる。私はひどく祝福されていた。柔らかい絹のべべちゃんに身を包み、甘いおしゃぶりを口にする私は確かに祝福され愛されていたのだ。春のうららかな日差が肌に優しい。ああ、なんて幸福な一日だったことだろう!


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 おそらく年内最後の投稿。
 今年は予想だにしない展開が続いたけど、終わってみれば非常に楽しい一年でした。ごちそうさま。

 今年一年で書いた作品は、ブログ掲載分(2008年1月~2008年12月)を含めて、
 ・異形コレクション未来妖怪の「帰郷」
 ・第6回bk1怪談大賞応募作「傘の墓場」「空想村」
 計46作。数えてみて、へー、と思う。それだけなのだけどもな。
 来年は来年でまたちまちまと書き溜めていくことでしょう。

 皆様よいお年を。

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