私の拍手を合図にショーは始まる。
草原の真ん中に作られた小さな劇場はとても質素。少し盛り上がった土の上に板を置いただけ。その上で、彼はぺこりとありったけの心を込めてお辞儀をする。すると、つつつ、って空から真っ白な細い糸が降りてきて、彼の頭と両手足にぴたりと吸い付く。糸が吸い付く瞬間が私は大好き。私もいつかあんな風に、と思う。
彼がくるくると素敵なダンスを踊ると、彼の手の振りやステップが白い軌跡を描く。クレヨンで描いたような、子供っぽい白色だ。その軌跡が幾重にも渦巻いて彼を包んで、彼はやがて大きな繭になる。
すると雲より高いところから垂れていた糸が一本に縒られて、繭は少しずつ解かれていく。そして全部解かれると、彼は無数の蝶になって四方八方に飛んでいく。黄色くて小さな、可愛らしい蝶。
わああ、わああ。
いつの間にか劇場の周りにはたくさんの観客がいて、それぞれが歓声を上げる。無数の蝶は歓声や指笛の音に乗って、見えなくなるくらい遠くまで飛んでいく。
そして、蝶の軌跡は全部淡いブルーだけどその中に一つだけ紅いのがあるから、私はそれを追ってどこまでも歩いていく。
水池君主催の『つながる超短編』(回廊第七号収録)に参加したもの。先日のオフでははやかつさんが「繋ぎにくいものを書いてゴメン」みたいなことを仰っていましたが、とんでもないです。むしろ僕こそマンジュさんに謝らなければ。コレからどういう連想ができるのかしららららら。いやもう、キラーパスを見事にキャッチしてくれてありがとうございます。
で、終わってから思うのは、もっと冒険してもよかったかな、ということでした。
2006年4月24日月曜日
2006年4月22日土曜日
浮揚
意識を取り戻した私は痛む頭を押さえながら顔を上げる。瓦礫の合間から光が射し込んでいた。手で緩く掻いただけで消えてしまいそうな光だ。
埃や塵が宙を舞う。それらは光の境界の辺りで不意に姿を表し、すぐに光に消えてゆく。その境界を見定めようとして、私は凝視する。
私の体は透き通るように白い。暗闇の中でも、微かな光を帯びて視覚的に存在するのだ。しかし、無数の有機物で構成される私は、左足の爪先から綻び始める。絹糸のように細く薄い一本の糸になる。かつて私を満たしていた空虚を私の形のままそこに残し、私はふらふらと彷徨いやがて光に溶ける。
自由題に出そうと思っていたけど、いつの間にか忘れ去られていたもの。思い出したついでに、表に出さねば。
埃や塵が宙を舞う。それらは光の境界の辺りで不意に姿を表し、すぐに光に消えてゆく。その境界を見定めようとして、私は凝視する。
私の体は透き通るように白い。暗闇の中でも、微かな光を帯びて視覚的に存在するのだ。しかし、無数の有機物で構成される私は、左足の爪先から綻び始める。絹糸のように細く薄い一本の糸になる。かつて私を満たしていた空虚を私の形のままそこに残し、私はふらふらと彷徨いやがて光に溶ける。
自由題に出そうと思っていたけど、いつの間にか忘れ去られていたもの。思い出したついでに、表に出さねば。
2006年4月19日水曜日
2006年4月17日月曜日
2006年4月15日土曜日
眼球
その人形師の屋敷は深い森の奥にあった。
傾いた鉄の門は軋み、屋敷を囲む森から鳥が羽根を撒き散らしながら飛んでゆく。驚き振り返って仰ぎ見る空はまだ暗い。のっぺりとした暗闇が屋敷に重くのしかかっていた。
「こちらです」
と人形師は玄関から三階へ案内してくれる。
掃除の行き届いた白石の床に淡い蝋燭の小さな明かりが落ちている。等間隔にならんだそれはずっと遠くまで続いているように見えたが、間もなく壁が現れた。角を右に曲がり、また蝋燭が続く。
「こちらです」
と人形師は部屋の扉を開けてくれる。
かつてはダンスホールであっただろう部屋は奥に深く延び、奥から大きな振り子時計が静かに時を刻む音が聞こえた。
そしてそこには裸体の少女の人形が床のいたるところにうち棄てられていた。妙な方向に折れ曲がったそれぞれの四肢は百合の花に似ている。だらりと垂れた手が妙に白く見えた。
「こちらです」
と人形師は人形の一体を拾い上げ渡してくれる。
薄闇の中でしなだれる体躯を抱き、私と彼女は向き合った。
暗色の乱れた髪を手で梳いたそのとき、差し込んだ朝陽が少女の眸を照らし出す。
それがあまりにも鮮やかなブルーだったので、とっさに肩で覆ったのだった。
タイトル競作に出そうと思ったけど結局間に合わなかったもの。
うーん、何か違う……。
傾いた鉄の門は軋み、屋敷を囲む森から鳥が羽根を撒き散らしながら飛んでゆく。驚き振り返って仰ぎ見る空はまだ暗い。のっぺりとした暗闇が屋敷に重くのしかかっていた。
「こちらです」
と人形師は玄関から三階へ案内してくれる。
掃除の行き届いた白石の床に淡い蝋燭の小さな明かりが落ちている。等間隔にならんだそれはずっと遠くまで続いているように見えたが、間もなく壁が現れた。角を右に曲がり、また蝋燭が続く。
「こちらです」
と人形師は部屋の扉を開けてくれる。
かつてはダンスホールであっただろう部屋は奥に深く延び、奥から大きな振り子時計が静かに時を刻む音が聞こえた。
そしてそこには裸体の少女の人形が床のいたるところにうち棄てられていた。妙な方向に折れ曲がったそれぞれの四肢は百合の花に似ている。だらりと垂れた手が妙に白く見えた。
「こちらです」
と人形師は人形の一体を拾い上げ渡してくれる。
薄闇の中でしなだれる体躯を抱き、私と彼女は向き合った。
暗色の乱れた髪を手で梳いたそのとき、差し込んだ朝陽が少女の眸を照らし出す。
それがあまりにも鮮やかなブルーだったので、とっさに肩で覆ったのだった。
タイトル競作に出そうと思ったけど結局間に合わなかったもの。
うーん、何か違う……。
2006年4月14日金曜日
2006年4月12日水曜日
2006年4月11日火曜日
2006年4月9日日曜日
三行日記182
色々とネットを彷徨っていたら、ALI PROJECTで目が止まる。
あー……やっぱり欲しい。しばらく忘れてたけど、見たらまた欲しくなった。
来週の日曜、たぶん東京まで行くので、そのときに買ってこようか。でもお金がにゃー。
あー……やっぱり欲しい。しばらく忘れてたけど、見たらまた欲しくなった。
来週の日曜、たぶん東京まで行くので、そのときに買ってこようか。でもお金がにゃー。
三行日記181
明日は所用でお泊りだけども、どの本を持っていこうか少々迷う。
バスでもどこでも、「何の本読んでるのー?」と聞かれるのが嫌いなので、
相手が反応に困るものが良いかしら。本は静かに読みたいから。捻くれてると思う今日この頃。
バスでもどこでも、「何の本読んでるのー?」と聞かれるのが嫌いなので、
相手が反応に困るものが良いかしら。本は静かに読みたいから。捻くれてると思う今日この頃。
2006年4月8日土曜日
2006年4月7日金曜日
2006年4月5日水曜日
三行日記178
mixiのコミュニティで「19--年○月×日生まれ(僕の生年月日)」というものが最近出来て、
それの参加人数がそこそこの勢いで増えている。
同じ日に生まれた人間って考えることまで似るものなのかしら。謎。
それの参加人数がそこそこの勢いで増えている。
同じ日に生まれた人間って考えることまで似るものなのかしら。謎。
2006年4月3日月曜日
5年前バトン
ぐによりゲット。がんばるよ!
■Q1.5年前に愛していた人を、今でも一番愛していますか?
もう一番ではないけども、一日たりとも忘れたことはございません。僕の歴史です。
■Q2.5年前に頑張っていた仕事を、今も続けていますか?
5年前は丁度中断していた時期なので何とも言えません、が、今も続けてますよ。というか、仕事じゃない(笑)。
やるだけやって、気が済んだら魂が抜けるみたいに死ぬのかしら。それが理想。
■Q3.5年前いつも一緒だった友達は、今も一番の親友ですか?
順位付けはしない性質なので何とも言えないねぇ、これも。
彼らはもちろん大事だけども、それと同じくらい大事な人も増えました。なんちって。
■Q4.5年前泣いた映画で、今でも泣けますか?
5年前はまったくの無感動だったために泣きはしなかったですよ。
でも5年前にいいと思ったものは今でもいいと言い切れますよ。うん。
■Q5.5年前楽しみだった誕生日は、今も楽しいものですか?
誕生日だから、ということはあまりないです。自分に関しては。
■Q5.5年前星を数えた夜空を、時には見上げていますか?
その頃は空を見上げることを知らないほど頭の狭い奴でしたから(笑)。最近はやたらを見ている気がする。
■Q6.5年前にしていた恋のように、今もときめくことはありますか?
恋の質がまったく変わってしまいました。今の方がより精神的な面での繋がりを求めている気がします。面倒臭いヤツだ。
■Q7.5年前になりたかった自分に、今なっていますか?
いくらか、近付いています。
■Q8.5年前に探していた自分の居場所は、みつけられましたか?
そこを居場所と言えば居場所になるのでしょうけども、まだ外の世界を見たいですよ。
■Q9.5年前の正義感や情熱を、今も持ち続けていますか?
正義感や情熱みたいに、立派で格好の良い言葉にできるものかどうかはさておき。
今も昔も相変わらず貪欲です。
■Q10.この5年間、精一杯生きましたか?
常に隙あらば何かやってやろうと思っていますよ。
■Q11.5年前の自分に会ったら何と語りかけますか?
人に言われたことよりも自分で考えたことの方が、自分に対して圧倒的な説得力を持っていることを知っているので、まぁ何も言わないのでしょう。
■Q12.このバトンを回したい10人
1人目は毒殺。
2人目は刺殺。
3人目は絞殺。
4人目は事故死。
5人目は密室殺人。
6人目と7人目はお互いを犯人と疑って殺し合い、
8人目は自分が犯人と自白し、自殺。
9人目は息をついたところを後頭部を殴打され、
10人目は呆けた顔でその場に立ち尽くす。ふと振り返り、あの木の根元から広がる暗闇に気付いたときには、
だれもいなくなった。
■Q1.5年前に愛していた人を、今でも一番愛していますか?
もう一番ではないけども、一日たりとも忘れたことはございません。僕の歴史です。
■Q2.5年前に頑張っていた仕事を、今も続けていますか?
5年前は丁度中断していた時期なので何とも言えません、が、今も続けてますよ。というか、仕事じゃない(笑)。
やるだけやって、気が済んだら魂が抜けるみたいに死ぬのかしら。それが理想。
■Q3.5年前いつも一緒だった友達は、今も一番の親友ですか?
順位付けはしない性質なので何とも言えないねぇ、これも。
彼らはもちろん大事だけども、それと同じくらい大事な人も増えました。なんちって。
■Q4.5年前泣いた映画で、今でも泣けますか?
5年前はまったくの無感動だったために泣きはしなかったですよ。
でも5年前にいいと思ったものは今でもいいと言い切れますよ。うん。
■Q5.5年前楽しみだった誕生日は、今も楽しいものですか?
誕生日だから、ということはあまりないです。自分に関しては。
■Q5.5年前星を数えた夜空を、時には見上げていますか?
その頃は空を見上げることを知らないほど頭の狭い奴でしたから(笑)。最近はやたらを見ている気がする。
■Q6.5年前にしていた恋のように、今もときめくことはありますか?
恋の質がまったく変わってしまいました。今の方がより精神的な面での繋がりを求めている気がします。面倒臭いヤツだ。
■Q7.5年前になりたかった自分に、今なっていますか?
いくらか、近付いています。
■Q8.5年前に探していた自分の居場所は、みつけられましたか?
そこを居場所と言えば居場所になるのでしょうけども、まだ外の世界を見たいですよ。
■Q9.5年前の正義感や情熱を、今も持ち続けていますか?
正義感や情熱みたいに、立派で格好の良い言葉にできるものかどうかはさておき。
今も昔も相変わらず貪欲です。
■Q10.この5年間、精一杯生きましたか?
常に隙あらば何かやってやろうと思っていますよ。
■Q11.5年前の自分に会ったら何と語りかけますか?
人に言われたことよりも自分で考えたことの方が、自分に対して圧倒的な説得力を持っていることを知っているので、まぁ何も言わないのでしょう。
■Q12.このバトンを回したい10人
1人目は毒殺。
2人目は刺殺。
3人目は絞殺。
4人目は事故死。
5人目は密室殺人。
6人目と7人目はお互いを犯人と疑って殺し合い、
8人目は自分が犯人と自白し、自殺。
9人目は息をついたところを後頭部を殴打され、
10人目は呆けた顔でその場に立ち尽くす。ふと振り返り、あの木の根元から広がる暗闇に気付いたときには、
だれもいなくなった。
2006年4月1日土曜日
三行日記174
・電気の使いすぎでブレーカーが落ちたので、負けじと頑張ったらブレーカーが根負け。勝った。
・人肌で温まるまで風呂に入ってました。
・『米粒グランプリ~世界で一番大きな米粒~』に参加します。
・人肌で温まるまで風呂に入ってました。
・『米粒グランプリ~世界で一番大きな米粒~』に参加します。
三行日記172
・ふよふよ浮かんでいたはずのいわし雲をもしゃもしゃ食べるネコに遭遇。
・背の順にならんだタヌキがこっちを見ながらムーンウォーク。こっち見んなw
・実は、『白縫いさや』以外にもHNが50ぐらいあります。
・背の順にならんだタヌキがこっちを見ながらムーンウォーク。こっち見んなw
・実は、『白縫いさや』以外にもHNが50ぐらいあります。
三行日記171
・いたるところで風邪が流行っているようです。お大事に。さっさと楽になれ。
・そういえばホラー超短編の選評〆切って先月29日じゃないですか。あ。
・大学でサークル紹介なるものがありました。後輩五匹、直下一匹確保。たぶん。
・そういえばホラー超短編の選評〆切って先月29日じゃないですか。あ。
・大学でサークル紹介なるものがありました。後輩五匹、直下一匹確保。たぶん。
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